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2017/01/21

実検するおじさん

【レビュー】AKG K612PROは中高音の抜けと明瞭さが良い

オーストリアのオーディオ機器メーカ AKGのリファレンスシリーズに属する商品のK612 PROになります。

建前としては『プロの要求する正確で緻密な描写を目指したシリーズ』と考えれば良さそうです。ただ、K612PROに関しては、聴いていてなかなか楽しい音に仕上がっていると思います。


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レビューに関する決め事はこちら

〇無理やり一言で表すと


基本的にモニター用に要求される特徴を持ちながら、音抜けが良く、無理がない自然な音を出し、楽しく鑑賞できる一品。

〇K612 PROの紹介と購入を決めた理由


この記事に検索などで辿り着いた人は、大体わかっていると思いますのでここでは簡単に。K612PROを買った経緯とか、お勧めする理由は別に書くことにしました

K812、K712PRO、K702、K612PROというシリーズで展開されている開放型のリファレンスシリーズの末弟です。海外ではK701も継続して販売されています。(並行輸入品が買える)K812は横に置いておいて、K702、K701に比べて、K712PRO、K612PROの方が低音が若干多目で、音の傾向が違うようですが、価格ほどの質の差は無い、というのが定説のようです。

K812は自分には高すぎるので、K7シリーズとK612PROで検討し、以前K702を試聴した時の印象から、もう少し低音が欲しいと考えてK612PROを選択しました。

〇開封します(`・ω・´)




あまり細かいところを気にしない性格なので参考になるか微妙ですが、作りの粗さなどは見られませんでした。

〇使用する環境


 120Ω 92dB SPL/mWと音量が取りにくいヘッドホンになりますので使用環境を。PCから光S/P DIF出力でDAC+HPA(TOPPING D3)に接続しています。

〇レビュー


■全体の印象

 フラットで自然。何をもってフラットと言うか難しいが、生演奏で聴いた時の音色との差が小さいことや、聴きこんでも不自然さが無いと置き換えてもらって良い。通常の音源ではボーカルなどの主旋律が強めなので、ボーカルを中心としたなだらかなカマボコともいえる。

 音域全体にわたって、音抜けが良く、正確でクリアな方向性で、味付け(特徴づけ)はあっさり。
 
 クラシックやジャズのようなアコースティックな演奏との相性が良く、特にドラムのスネアやタムのニュアンスの差が分かりやすい。個人的にこれらの楽器について非常に好きな音色を聴かせる。

 ピアノやバイオリンに加えて、フラメンコやクラシックギター澄んだ音色が綺麗で明瞭。情報量(弦が擦れる音やピッキング時のタッチの音など)も多く聴き取れる。フラット(多くのヘッドホンより低音が控えめ)で応答が正確だからかピアノやクラシックギターでたまに聴かれる『生音はこんなネットリしていないよ!?』というようなことがない。

 打ち込み系は決して得意ではないが、バスドラ、ベースのアタックは出ているので、低音が強めのソースだと中高音の見通しの良さと相まってこれはこれで良い。(Perfumeのカッコ良い系など)


■各音域の印象

 重低音は出ているが量は少なく響き渡る感じは無い。ベースやバスドラのアタックが出ているし、低音はソース通り出ている印象だが、昨今の基準からすれば控えめ。

 スネアやタムのアタックが明瞭でニュアンスの差も聴き取れる。ギターやピアノも鮮やかかつ自然に聴こえ音抜けも良い。ボーカルも明瞭で鮮明であり、他に出っ張った音域がないため、邪魔されずに見通しが良い。ボーカルはクリアな方向性で良いが、温かさや豊かさは控えめ。

 シンバルのような金属音は厳しめに言ってやや強めでやや近い。高音が控えめな音源なら、解像度が高いように聴こえる程度なので、ほとんどの場合は問題にならない。基本的に鮮やかで明瞭だが、強調されたような不自然さは無い。同時に、聴き疲れが少ない印象。超高音に向かって自然に落ちていく印象で、シンバルのサスティーンもやや長めか普通。

 中高音の明瞭さや鮮やかさ、自然な鳴りがK612PROの特徴。(このシリーズの特徴と言えるかも)そして低音は下支えする程度に必要十分添えるだけ。

大雑把な聴こえ方は
ボーカル&ギター≒スネア>シンバル>バスドラ&ベース高音側≫ベース低音側


■その他聴こえ方

 ソースの粗が思いっきり目立つわけではないが、粗は分かりやすい方だ。楽器の生音を打ち込みで模擬したタイプの曲では、元の音の偽物っぽさがそのまま出てしまうので、もう少し大雑把な表現をするものを選んだ方が楽しいかも。
 全域を通して音抜けが良い。言い換えるとヘッドホン起因の反響や残響、付帯音、歪が少ない。音場感は広めで、どこで鳴っているかが明確と判断するが、私の中で比較対象が少ないため参考程度に。
 側圧は弱めで軽く装着感は良い。耳から頭頂までが長い人は、バンドで抑えられている感じがするかもしれない。
 開放型なので、音漏れは大きい。遮音性などは期待できない。 


■お勧めできる人
 
 クラシック、ジャズなどが好きな人へ。個人的にフラメンコやクラシックギター好きに勧めたい。また、それらのジャンルを演奏する人にお勧めする。理由は、アーティストのニュアンスや細かな音が聴き取りやすいため鑑賞+勉強に使いやすいと考えるから。
 普段、ロックや打ち込み系を聴く人で、ノリの良いヘッドホンを持つ人にとっては、バラードや他のジャンルを聴く使い分けとして有用。基本的にボーカルを中心とした音域が中心の曲との相性が良い。K702あたりで低音不足を感じたら試してみる価値があるか。
 音量が取りにくいので、安価でも良いのでヘッドホンアンプは用意したい。


■お勧めできない人
 
 ベース、バスドラもメリハリがあるし、ギターのディストーションのエッジ感は出るため、ロック&打ち込み系は不可というわけではないが、派手なスネア、シンバル、エッジの効いたギターのような高音域が前面に出た曲だと、高音のキツさが目立ちやすい。また、そのような曲で下支えとなる重低音~低音が不足してしまうと全体が軽くなりやすい。そのようなポイントを重視するなら別を探したほうが良いだろう。
 ボーカルも基本的には上手いが、中低音が少なめであるため、力強さや豊かさを求めると、やや物足りない。


■雑感

 自然な音ゆえに初めてオーディオに投資する人には『すげー!』って感じが薄いかもしれない。色々と買って試した人が結構いいなぁとジワジワくることが多いタイプだと思う。個人的には買って良かったと思うし、最近聴いていなかったCDを引っ張り出して改めて聴いて感動するという状態である。実売15000円程度が相場で、同価格帯に味付けあっさり聴きやすく、クリアで正確な方向性というヘッドホンは(AKGを除くと)案外少なく存在価値がある。
 選択の際に参考にしたHe&Biさんが過去のコメントにて『K612PROは和食』と言ったのが良く分かる。モニター用の解像度と、音楽鑑賞用の楽しさのための味付けの両方を、欲張り過ぎずに上手くまとめた印象。(どちらか一方を優先した物には一歩譲るが、という感じ)
 欲しいけど、あと一歩決め手が…という人がいたら、こちらのK612 PROをお勧めする理由もどうぞ。やや厳しめに書いたレビューと違って、ここが好き!っていうのを説明しています。


〇買い物かごの中身の評価


大雑把なお買い得度を評価する指標です。基準はこちらから。

お買い得度 ☆☆☆★★
使い勝手  ☆☆★★★
お勧め度
  一般  ☆☆★★★
  趣味人 ☆☆☆☆★

コメント
 私感としてコストパフォーマンスは高いと思いますが、それでもやっぱり1.5万円。お買い得度は低めに。屋内使用前提、アンプ推奨、大きめ、ケーブル長い(PC前だったら1.2mあればいいんだが…)ということから、使い勝手が良いとは言いにくい。マッチする音楽ジャンルが狭いという意味ではないのでご注意。アンプ推奨+いきなり1.5万のヘッドホンは敷居が高いなどの点から一般へのお勧め度は低め。趣味人は、とりあえず今のうちに買っとけ。

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