↓他の記事も読みたい方はこちら
サイトマップと管理人ご挨拶
画像・記事の二次利用も上記まで
※当サイトはAmazonアフィリエイト、Google Adsense、楽天アフィリエイトによる公告を掲載し、収入を得ています。

2017/03/30

実検するおじさん

RHA MA350が地味ながら良い仕事するって話

 詳しいレビューはレビュー記事:RHA MA350はレンジの広さとバランスの良さが好印象にあります。
 レビュー後のイヤホンは普段使いしておりまして、そこで気づいた点はレビューに反映している次第です。MA350もそうで、最近の通勤用イヤホンになっています。


 そんなわけで、自分で書いたレビューを読み直しながら使っているわけですが、このイヤホンは『減点法なら高得点だな』と思うことがありまして、そこがこのイヤホンの魅力なのでは?と思うに至りました。

 というわけで、レビューでは伝えきれなかった『なんとなく良いイヤホン』RHA MA350について述べてゆきたいと思います。

※スポンサー



繰り返しになりますが、詳しいレビューはレビュー記事までお願いします。


今回取り上げるのはこちらですね。
価格もリンク先からどうぞ。

〇使用シチュエーション


 限定する必要はありませんが、通勤時のような移動中の使用をメインに提案したいです。というのは、比較的遮音性が高く、かつ音漏れが少ないからです。また、小音量使用時の聴こえ方のバランスが良好だと考えます。
 通勤用での使用をお勧めする、逆に言うと、自宅での使用には能力的な物足りなさがあると感じる理由は、大音量では歪み感が強くなるためで、居室内で、音楽をガンガン掛けて浸りたいというのには厳しいかなと考えます。


〇全体の聴こえ方


 通勤使用で、スマホやiPodのような出力が低めのプレイヤーを使い、低音量で聴くと前置きすると、ボーカルが前面に出て、ベースは全体の迫力を出し、シンバルが少し近い場所で鳴っているような聴こえ方をします。


〇最大の弱点はタッチノイズ


 いきなりですが、このイヤホンの最大の欠点はタッチノイズの大きさです。布巻のケーブルが衣服に擦れてゴリゴリと伝わってきます。椅子に座って使用していても気になるほどです。

 ただし、シュア掛けができますし、シュア掛け使用を許容できるならば、この最大の弱点はクリアできるでしょう。

 もう一点の弱点は、大入力時の歪みですね。耳のためにも小音量での使用をお勧めします。

 この2点さえクリアできれば、欠点らしい欠点の少ないイヤホンになります。

おすすめポイントに続きます。
※ スポンサー




〇MA350のジワジワくる良いポイント


 MA350は、低音が強めながら、やけに凹んだ帯域がありません。しかも、重低音と超高音は『ほどほど』に出ます。小音量での使用に限れば、低音の押し出しはそれほど強くないです。

 エレキギターのディストーションのジャキッとしたエッジ感があり、ベースやバスドラは迫力を添えてくれます。シンバルのような金属的な音は、曲全体にキラキラ感を添えてくれます。ここでポイントは『添える』だけであって、グイグイ押してくるわけではないのです。『ほどほど』です。

 ボーカルは、一般的なミックスであれば他に邪魔されずに聴こえてきます。サ行やタ行が刺さりまくってくるわけでもなく、丸まって柔らかくなりすぎるわけでもないバランスです。

 楽器の響きやリバーブも『それなりに』表現するので、音源にある空間的な広がりを感じます。トランペットやバイオリンも繊細な感じと楽器の響きが上手く合わさっています。打ち込み系も、低音が良く出て締まりがあり、キレのある中音域が合っています。


〇なぜ『地味ながら良い仕事』なのか


 先述のように、良いなと思った点を挙げると『超高性能機』のように見えますが、そんなに簡単にジャイアントキリングは発生しません。

 例えば低音が控えめな、ピアノ弾き語りを試聴用に使って、同価格帯のカルボテノーレと比較したとしましょう。そうすると、中音域、つまりピアノ弾き語りで一番気になるところで、MA350の若干の濁り感が気になるかもしれません。カルボテノーレはこの辺りがクリアですし、バランスも中音域が強く、カルボテノーレが優勢に感じるでしょう。

 例えば低音のパワフルさが好きで、そういった打ち込み系音楽で試聴をしていて、MA350とZB-03を比較したとしましょう。そうすると、断然ZB-03の方が迫力があって、キレのある低音を聴かせてくれるわけです。しかも、そういう音楽を大音量で楽しもうとすると、MA350は分離感が低下して歪み感が増えます。ZB-03の方が耐入力が高いですね。

 では逆はどうでしょう?

 低音のパワフルさが好きで、打ち込み系音楽でカルボテノーレとMA350を比較すると、MA350の低音の力強さを魅力的に感じるはずです。カルボテノーレの低音は、かなりキレのあるタイプですが、重低音がバッサリ出ていないので、重低音を基準にするとMA350が優勢です。

 ピアノ弾き語りをZB-03とMA350で比べるとどうでしょう?ZB-03も悪くないですが、ピアノの軽やかさやクリアさ、ボーカルの明瞭さはMA350の方が上に感じるはずです。柔らかく、甘いピアノサウンドが好きならば、やや柔らかい表現をするZB-03もありです。

 で、何を言いたいかというと、全域にわたって『それなりに』『ほどほど』『添える』バランスにより、負け戦になりにくいイヤホンとなっていると感じています。こういう場合は、平坦で良さが分かりにくいイヤホンになりがちかな?と思うのですが、ちょっと低音が効いて、ちょっと高音がキレて、中音域の抜けがそこそこ良いので、悪くないじゃん!と思えるわけです。

 これが私の思う『地味ながら良い仕事』の意味です。


〇MA350で私が好きなポイント


 このMA350ですが、ホールで収録したようなオーケストラの演奏がなかなか良いです。というかバイオリンの表現がZB-03とカルボテノーレよりも良いと思います。(その他、色々と比べていますが、この価格帯ではトップクラスに上手いです。)楽器やホールの響きを鳴らして、高音までの抜けがなかなか良く、なるほどと思わせてくれます。


〇評価が上がってゆくと良いなぁ


 以上のように、音域のバランスを上手く取っており、各音域での表現も、キツくなりすぎず、柔らかくなり過ぎないように、上手く仕立ててあると思います。海外での評判も良いです。

 国内では『RHA MA350 レビュー』などと引っ掛けても、あまりレビューが上がっていません。日本デビュー間もない(デビュー2017年3月中旬 この記事は同3月末)ので、こんなもんかもしれませんが、それにしても話題が少ないような。

 MA350は海外での販売が長いため、しばらくは販売が継続されると予想しています。マイナーチェンジぐらいはあるかもしれませんが。あのカルボテノーレも評価を得るまでに時間がかかったことを考えると、これからジワジワくるかもしれません。

 ここまでに書いたように、バランス型のイヤホンですので、今後、各メディアやショップの紹介でどのように取り上げられるかが気になります。
 音質上の欠点が少ないことから『〇万円に匹敵する高性能!』とか、ヨイショされたりするのではなかろうかとちょっと心配です。そうヨイショされてしまうと『そんな盛り上がるほどのレベルではない!』と評価が二分されてしまって、ほどほどのバランスなのが良い所ってのが見えにくくなるのではないかと…

 まぁ大きなお世話ですね。


〇引き合いに出した2品との比較短評


先ほど引き合いに出したので、もう少し掘り下げておきましょう。
商品のリンクはこちらですね。価格もリンク先からどうぞ。


 MA350の超高音域は、カルボテノーレより出て、ZB-03の方が繊細な表現をします。ZB-03の超高音は、量もそこそこ出て、結構細くて繊細なんですよね。MA350は、そういう傾向とは少し違いますが、比較的出ている方です。高音と一口に言っても、中音域の影響も受けるトランペットやバイオリンなどの表現は、ZB-03よりMA350の方がクリアですね。

 MA350は分類上はドンシャリですが、ZB-03とは受ける印象が違います。ZB-03の高音側のピークは結構高い所にあります。詳しく言うと、ドンシャリサウンドが心地よいザクザク刻むギターなどで、ギターアンプの設定で音抜けの良し悪しに効いてくる高音の周波数よりも、ZB-03の高音のピークは高い所にあるようです。ですので、ザクザクとした刻みが、ZB-03はいまいち抜け切れません。一方、MA350はそのあたりのザクザク感が比較的出ます。ZB-03も滑らかさがあり、力強いギターサウンドになるので悪くはないです。

 どれを買っても価格以上の仕事はしてくれます。その状況の中で、結構高いレベルで特色を出して戦っている3種類だと思います。

 MA350に限って言えば、最大の弱点であるタッチノイズを回避するためのシュア掛けが、各自の耳に合うかどうか?という所は、店頭で試した方が良いでしょう。

関連記事:
RHA MA350はレンジの広さとバランスの良さが好印象
ZB-03の低音は力強くキレが魅力
ZH-DX200-CT カルボテノーレはクリアな中高音で使いやすい一品


□最後に

 もう少し予算を足して、5000円より少し高いぐらいのイヤホンまで見ると、MA350が中途半端になって、すべてにおいて負ける、みたいな構図になってしまうのではないかと、若干危惧します…。3500円なら強いですけどね。

ラベルのヘッドホン・イヤホンから他の商品のレビュー、またはラベルの買い物かごの中身から各種レビュー記事が閲覧できます。


※スポンサー